一度は旗幟を鮮明にする 前言撤回も歓迎する

「脱原発」について議論されていたら、途中から「減原発」という言葉が出てきたので、私は昔のことを思い出してしまった。

 

私が事業会社でITを担当していたころ、メインフレームと呼ばれる大型コンピュータから価格性能比に優れる小型コンピュータに移行することの是非について大議論が巻き起こった。「ダウンサイジング」という言葉が使われ、ダウンサイジング推進派と反対派に分かれての激論が起こったのだ。しかし、途中から「ライトサイジング」という言葉が出てきた。ライト(正しい、適切な)サイジングであれば、そんなに激論することもないでしょ、というわけだ。

 

我々は、旗幟鮮明にして激論になってしまった場合、差し障りのない言葉を持ち出してお茶を濁す傾向があるのではないだろうか。

 

それによって感情的な対立を和らげることに成功しても、もし一種の思考停止や、根本的問題の先送りにつながるとすれば、これは大きな問題である。

 

KGK式合宿で議論する際、私は、論点について一度は、旗幟を鮮明にすることを推奨している。皆が差し障りのない言葉を選んで発言していたのでは、根深い本質的な問題などは議論できないからである。一度は、躊躇せずに自分の価値観を素直に表明することはたいへん重要である。お互いの価値観の違いをきちんと理解したうえで、それではチームとしてどうするのかを議論する。そうしないと、底が浅い合意になってしまう。

 

私が合宿でもうひとつ推奨しているのが「前言撤回」である。合宿では、あらゆる制約から離れて議論して欲しい。「過去の自分」からも自由であって欲しい。つまり、一度は自分の旗幟を鮮明にしたが、チームで議論しているうちに、自分の見解も少し変わってきた。であれば、気楽に前言撤回して欲しい。それこそが、改革の芽生えだから。

 

こういう過程を経て合意された結論は、あとでブレることは少ない。十分に揉まれているからだ。

 

「脱」でも「減」でも、どちらでも構わないのだが、本質的なことをしっかり議論して欲しいものである。